キツイのは身をもってわかっているし、他にもっと楽な仕事があるのもわかっているのにやりがいを感じて辞めずに頑張ってしまうのが自分の趣味の延長線上にあるものを扱う業界。たとえばテレビ業界や音楽業界、アニメ業界などがパッと思い浮かぶ代表ではないだろうか。そして、それと同じくらい「やりがい」が仕事を続ける原動力となっているのがゲーム業界だ。
実際、今年の7月に行われた「ゲーム業界での働き方」に関する調査(https://hiraku-agent.com/column/1194/)では、ゲーム業界で仕事選びをする際、仕事に求めることは「仕事内容」や「年収」をおさえて第1位が「やりがい」であることが明らかになった。つまり、ゲーム業界で働く人たちの多くは、誇りをもって仕事に取り組みたいと望んでいるのだ。
では、さまざまな業務に携わっている中で、どのような瞬間に「やりがい」を感じているのだろうか。またその一方で、やりがいを感じられないとしたら、その理由はなんなのだろうか。そこで今回、株式会社Hiraku agent(https://hiraku-agent.com/)は、ゲーム業界で働く人を対象に「ゲーム業界で働く人の仕事内容」に関する調査を行った。
はじめに、「現在どのような業務に携わっていますか?(複数回答可)」と質問したところ、『企画(30.7%)』と回答した人が最も多く、『プロジェクトマネジメント(26.2%)』『プログラミング(24.6%)』と続いた。
ゲーム業界は業務の内容が幅広いが、企画やプロジェクトマネジメントがそれぞれ約3割、技術系ではプログラミングに携わっている人が約2割という結果になった。
今年7月に行った調査(https://hiraku-agent.com/column/1194/)では、ゲーム業界で働く人が仕事に求めることの第1位は「やりがい」という結果になったが、仕事にやりがいを感じている人はどのくらいいるのだろうか。
「現在の仕事内容にやりがいを感じていますか?」と質問したところ、約9割が『やや感じている(47.5%)』『とても感じている(41.8%)』と回答。
多くの人が現在の仕事内容にやりがいを感じていることがわかるが、一方で少数ながらやりがいを見出せない人もいるようだ。
次に「どのようなときにやりがいを感じますか?(複数回答可)」と質問したところ、『チームワークを発揮できたとき(48.4%)』と回答した人が最も多く、次いで『作品が完成したとき(45.8%)』『自分の能力を発揮できたとき(35.9%)』となり、「チームワークを発揮できたとき」「作品が完成したとき」と答えた人がそれぞれ半数近くにのぼる結果となった。
ゲーム業界はチームで仕事することが多いため、チームで協力して作品を作り上げた時にとくにやりがいを感じるのかもしれない。また「自分の能力を発揮できたとき」にも回答が寄せられた。
では、ゲーム業界ではどのような業務が人気なのだろうか? それを調べるべく「現在の業務の他に、やってみたい業務はありますか?(複数回答可)」と質問したところ、『アニメーション制作(19.7%)』と回答した人が最も多く、次いで『3Dデザイン(19.2%)』『プロジェクトマネジメント(16.6%)』となった。
その割合を見てみると「アニメーション制作」や「3Dデザイン」といったクリエイティブな業務と回答した人が約2割。その他「プロジェクトマネジメント」など制作に関するマネジメント業務など、どの業務も一定数の人気があることがわかった。では、それぞれの業務に必要なスキルとはどのようなものなのだろうか?人気の高かった3つの業務について、回答をまとめた。
■前問で回答した業務をするために必要なスキルはなんだと思いますか?
<アニメーション制作>
・創造力(男性/20代/東京都)
・プログラム能力 芸術スキル(女性/20代/北海道)
<3Dデザイン>
・プログラミング力と洞察力、絵コンテの上手さ(女性/30代/愛知県)
・社員とのコミュニティと資格の取得です(男性/30代/神奈川県)
<プロジェクトマネジメント>
・制作全体を把握、運用できるディレクション力(女性/40代/北海道)
・マネジメント能力(男性/50代/東京都)
ゲーム業界の業務は専門性が高いため、業務ごとに必要なスキルがそれぞれあることがわかった。
では、実際にゲーム業界で働き続けたいと思っている人はどのくらいいるのだろうか? 「今後もゲーム業界で働き続けたいと思いますか?」と質問したところ、約9割が『やや思う(48.5%)』『とても思う(38.9%)』と回答し、現在働いている人の中でも魅力ある業界であることが示された。
最後に「ゲーム業界で働き続けたいと思う理由を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『ゲームが好きだから(51.8%)』と回答した人が最も多く、次いで『自分の経験や能力を発揮できるから(49.7%)』となった。やはりゲームが好きで、自身のスキルを活かせる点が業界に留まる動機となっているようだ。
業務の専門性が高く、好きなことを仕事にしている人が多いゲーム業界では、他の業界に転職せずに、ゲーム業界で働き続けたいという意欲が強い傾向にあるといえるだろう。
【調査概要】「ゲーム業界で働く人の仕事内容」に関する調査
調査期間/2024年9月18日(水)~2024年9月19日(木)
調査方法/リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
調査人数/1,002人
調査対象/調査回答時にゲーム業界で働いていると回答したモニター
調査元/株式会社Hiraku agent(https://hiraku-agent.com/)
モニター提供元/PRIZMAリサーチ
今回の結果を眺めていて、やはり出版という特殊な業界に30年近くに渡って身を置く記者は、激しく同意する場面が多々あった。この業界で自身が経験した仕事を振り返ってみると、普通の業界ではおよそ考えられないようなことばかり。一例を挙げると25年ほど前、記者が30歳になろうかという頃のことだが、720ページのムック本を急遽出版することに。許された制作期間は2週間。その間は寝ていたら間に合わないと一切横にならず、ひたすら作業を続けていた。2週間のトータルの睡眠時間は、居眠りしてしまった時間の合計6時間だけ。この他にも、数え切れないくらい過酷な現場を経験したが、それでもいまだに続けているのは、やはり本を作るという行為が好きだから。そんなこともあって、ゲーム業界で働く人たちへの今回の調査結果は他人事とは思えなかったわけだ。ただ、若いうちは体力にまかせて突っ走ることができても、だんだんと無理が効かなくなってしまうのが人間の悲しいところ。カラダやココロにできるだけ負荷をかけず、ちゃんと結果が出せる自分なりの術を、なるべく早いうちに体得してほしい。自分の好きな業界で末長く働くために。
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