*第3相試験EMERALDの新しい事後解析では、ESR1遺伝子変異のある腫瘍を患う内分泌療法感受性集団(CDK4/6阻害剤の投与期間が12カ月以上)を対象にエラセストラントを評価。
*本解析では、骨転移、肝転移と肺転移、またはそのいずれかのある患者、PIK3CAやTP53などの一般的な共変異のある患者、HER2低発現患者など、調査したサブグループ全体で臨床的に有意な無増悪生存期間の改善が示された。
*こうした結果は、ESR1遺伝子変異のある腫瘍が内分泌療法感受性を維持している場合、ERパスウェイが疾患の重要な促進因子である可能性を示している。
フィレンツェ(イタリア), 2023年12月12日 /PRNewswire/ -- 国際的な大手製薬・診断薬企業Menarini Group(「Menarini」)と、Menarini Groupの100%子会社で、がん患者に画期的な腫瘍治療を届けることに注力しているStemline Therapeutics, Inc.(「Stemline」)は8日、関連する全サブグループにおいて無増悪生存期間(PFS)が臨床的に有意な改善を示した、ピボタル臨床試験EMERALDの新たな事後解析の結果を発表しました。本データにより、CDK4/6阻害剤による前治療期間が12カ月以上の、内分泌療法感受性のあるESR1遺伝子変異を有するER陽性/HER2陰性の進行性または転移性乳がん(mBC)患者では、標準治療(SOC)と比較した場合、ORSERDU(R)(エラセストラント)単剤療法のPFSの方が良好だったことが示されました。本データは、2023年12月5-9日開催の2023年サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表されました。
EMERALDは、内分泌単剤SOC(フルベストラント、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン)に対してORSERDUが統計的に有意なPFSを示した第3相登録試験です。これらの結果に基づき、米食品医薬品局(FDA)は2023年1月27日、ESR1遺伝子変異のあるER陽性/HER2陰性の閉経後女性または成人男性で、内分泌療法を少なくとも1回受けた後に病態進行した、進行性または転移性乳がんの治療薬としてORSERDUを承認しました。ER陽性/HER2陰性の進行性またはmBCの最大40%に認められるESR1遺伝子変異は、標準的な内分泌療法に対する抵抗性促進因子として知られており、これまで、こうした変異を有する腫瘍は治療がより困難でした。
重要なのは、SABCS 2022で発表されたEMERALD PFS結果の以前の事後サブグループ解析で、CDK4/6阻害剤の前治療期間にはORSERDUによるPFS延長と正の相関があることが示されたが、SOCとはそうした相関は示されなかったことです。ESR1遺伝子変異があり、EMERALDの無作為化試験開始前にCDK4/6阻害剤による治療歴が12カ月以上ある患者のSOCのPFS中央値が1.9カ月だったのに対し、ORSERDUは8.6カ月を達成、進行または死亡のリスクも59%減少しました(HR=0.41 95% CI:0.26-0.63)。[1]
今回の最新の解析でMenarini Stemlineは、骨転移と肝転移か肺転移、またはそのいずれもある患者、PIK3CAやTP53などの一般的な共変異のある患者、HER2低発現患者など、高頻度でみられる臨床および主要バイオマーカーのサブグループを対象に、ORSERDU単剤療法の有用性を評価しました。
テキサス大学サンアントニオ校ヘルスサイエンスセンター・MDアンダーソンがんセンターの乳腺腫瘍内科医で内科教授のVirginia Kaklamani博士は「今回の最新の研究結果により、ESR1遺伝子変異のあるER陽性/HER2陰性の転移性乳がん患者にとって、ORSERDU単剤療法が有望な2次治療の選択肢であることがさらに裏付けられました」「私たちは、CDK4/6による前治療期間が少なくとも12カ月以上ある患者にエラセストラント単剤療法を行い、多くの重要なサブグループにおいて無増悪生存期間が標準治療と比較して一貫して改善することを確認しています。こうした結果は、骨転移だけでなく、肝転移か肺転移、またはそのいずれもある患者、PIK3CAやTP53などの一般的な共変異のある患者、HER2低発現患者でも観察されています」と語っています。
ORSERDUは、これらのサブグループ全体で、内分泌単剤SOC(フルベストラント、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン)と比較して、臨床的に有意なPFS改善を示しました。ORSERDUは、CDK4/6阻害剤による前治療期間が少なくとも12カ月ある場合、PFSの有意な延長を示しており、ESR1遺伝子変異のある腫瘍が内分泌療法感受性を維持していれば、転移部位、PIK3CAあるいはTP53の共変異、HER2の低発現とは関係なく、ERパスウェイが疾患の重要な促進因子の可能性があります。抄録の全文は、こちらからご覧いただけます。
Menarini GroupのElcin Barker Ergun最高経営責任者(CEO)は「SABCS 2023で発表したデータにより、ORSERDUに関する私たちの知見は強化され、ESR1遺伝子変異のある腫瘍を標的とする単剤療法としての可能性はさらに高まりました」「Menarini Stemlineの目標は、がんと共に生きる人々の暮らしを延長、改善するための革新的な治療法を提供することです。私たちは、数多くの然るべき転移性乳がん患者が切望し、かつ管理可能な安全プロファイルを有する内分泌療法の選択肢を提供できることを誇りに思います」と語っています。
安全性データは、以前に報告された結果と一致していました。ORSERDUの最も一般的な副作用は、筋骨格痛、吐き気、トリグリセリド増加、コレステロール増加、嘔吐、疲労、消化不良、下痢、カルシウム減少、背痛、クレアチニン増加、関節痛、ナトリウム減少、便秘、頭痛、ほてり、腹痛、貧血、カリウム減少、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加でした。ORSERDUの重要な安全性情報は、以下の通りです。
SABCS 2023でのMenarini Group/Stemline Therapeuticsの発表全体の詳細については、こちらをご覧ください。
▽第3相試験EMERALD(NCT03778931)について
第3相試験EMERALDは、ER陽性/HER2陰性の進行性・転移性乳がん(mBC)患者の2次または3次治療の単剤療法としてエラセストラントを評価する、無作為化・非盲検・実薬対照試験です。本試験には、CDK4/6阻害剤を含む内分泌療法での1次または2次治療歴のある患者478人が登録されました。本試験の患者は、エラセストラントを投与する群と、治験責任医師が選択した承認済みホルモン剤を投与する群に無作為に振り分けられました。本試験の主要評価項目は、全患者集団およびエストロゲン受容体1遺伝子(ESR1)に変異のある患者群における無増悪生存(PFS)でした。腫瘍にESR1遺伝子変異のある患者群において、SOCのPFS中央値が1.9カ月だったのに対し、エラセストラントは3.8カ月で、進行または死亡のリスクもSOCより45%減少させました(PFS HR=0.55、95% CI:0.39、0.77)。
▽ORSERDU(エラセストラント)について
米国での適応症:ORSERDU(エラセストラント)345mg錠は、エストロゲン受容体(ER)陽性、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)陰性で、ESR1遺伝子変異のある進行性または転移性乳がんを患い、内分泌療法を少なくとも1回受けた後に病態進行した閉経後女性および成人男性の治療に適応されます。
米国向け処方情報の全文は、www.orserdu.com でご覧いただけます。
重要な安全性情報
警告および注意事項
脂質異常症::ORSERDU服用中の患者の高コレステロール血症および高トリグリセリド血症の発現率は、それぞれ30%、27%だった。グレード3および4の高コレステロール血症および高トリグリセリド血症の発現率はそれぞれ0.9%、2.2%だった。ORSERDU服用開始前および服用中は、定期的に脂質プロファイルをモニターすること。
胚・胎児毒性: 動物における所見とその作用機序から、ORSERDUは妊婦に投与すると胎児に害を及ぼす可能性がある。妊婦および生殖可能な女性には、胎児への潜在的リスクについて助言すること。生殖可能な女性には、ORSERDUによる治療中および最終投与後1週間は効果的な避妊を行うよう助言すること。生殖可能な女性パートナーがいる男性患者には、ORSERDUによる治療中および最終投与後1週間は効果的な避妊を行うよう助言すること。
副作用
ORSERDUを投与された患者の12%に重篤な副作用が発現した。ORSERDUを投与された患者の1%以上に発現した重篤な副作用は、筋骨格痛(1.7%)および吐き気(1.3%)だった。ORSERDUを投与された患者の1.7%に致命的副作用が認められ、内訳は心停止、敗血性ショック、憩室炎、原因不明(各1例)だった。
臨床検査値異常を含む、ORSERDUの最も一般的(10%以上)な副作用は、筋骨格痛(41%)、吐き気(35%)、コレステロール増加(30%)、AST増加(29%)、トリグリセリド増加(27%)、疲労(26%)、ヘモグロビン減少(26%)、嘔吐(19%)、ALT増加(17%)、ナトリウム減少(16%)、クレアチニン増加(16%)、食欲減退(15%)、下痢(13%)、頭痛(12%)、便秘(12%)、腹痛(11%)、ほてり(11%)、消化不良(10%)だった。
薬物相互作用
CYP3A4誘導剤と阻害剤、またはそのいずれかとの併用:強度または中等度のCYP3A4阻害剤とORSERDUとの併用は避けること。強度または中等度のCYP3A4誘導剤とORSERDUとの併用も避けること。
特定患者集団への使用
授乳: 授乳中の女性は、ORSERDUによる治療中およびORSERDUの最終投与後1週間は授乳しないよう助言すること。
肝障害: 重度の肝障害(Child-Pugh C)のある患者へのORSERDU投与は避けること。中等度の肝障害(Child-Pugh B)のある患者にはORSERDUの投与量を減らすこと。
小児患者でのORSERDUの安全性、有効性は確立されていません。
副作用の疑いの報告は、Stemline Therapeutics, Inc.(1-877-332-7961)またはFDA(1-800-FDA-1088)またはwww.fda.gov/medwatch にご連絡ください。
▽エラセストラント臨床開発プログラムについて
エラセトラントは、転移性乳がん疾患を対象としたいくつかの臨床試験でも、単剤療法または他の治療法との併用療法として研究が行われています。ELEVATE(NCT05563220)は、アルペリシブ、エベロリムス、パルボシクリブ、アベマシクリブ、リボシクリブとの併用によるエラセトラントの安全性と有効性を評価する、第1b/2相臨床試験です。 ELECTRA(NCT05386108)は、ER陽性/HER2陰性の乳がん患者を対象に アベマシクリブとの併用療法でエラセトラントを評価する非盲検・多施設・第1b/2相試験です。第2相部分では、脳転移のある同患者集団でこの治療計画を評価しています。ELCIN(NCT05596409)は、エストロゲン受容体陽性(ER+)/ヒト上皮細胞増殖因子受容体2陰性(HER2-)の進行/転移性乳がん患者で、以前に1回または2回のホルモン療法を受け、 転移した状態でサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4およびCDK6阻害剤(CDK4/6i)を使用したことのない人を対象にエラセトラントの有効性を評価する第2相試験です。エラセストラントは、早期乳がんを対象とした評価も行われています。
▽Menarini Groupについて
Menarini Groupは、売上高44億ドル超、従業員数は1万7000人を超える国際的な大手医薬品・診断薬企業です。Menariniは、満たされていないニーズの高い治療分野に重点を置き、心臓疾患、腫瘍、呼吸器疾患、消化器疾患、感染症、糖尿病、炎症、鎮痛用の製品を提供しています。18の生産拠点と9の研究開発センターを有するMenariniの製品は、世界140カ国で販売されています。詳細については、www.menarini.com をご覧ください。
▽Stemline Therapeutics Inc.について
Menarini Groupの100%子会社Stemline Therapeutics, Inc.(「Stemline」)は、新規腫瘍治療薬の開発、商品化に注力している商業期バイオ医薬品企業です。Stemlineは、エストロゲン受容体(ER)陽性、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)陰性でESR1遺伝子変異のある進行性または転移性乳がん患者で、内分泌療法を少なくとも1回受けた後に病態進行した閉経後女性および成人男性用の経口内分泌治療薬ORSERDU(R)(エラセストラント)を米国と欧州連合(EU)で商品化しています。Stemlineは、米国および欧州で侵攻性血液がんである芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)患者向けにCD123を標的とする新規標的治療薬ELZONRIS(R)(タグラクソフスプ)を商品化、これは、これまでに米国およびEUで承認された唯一の治療薬です。Stemlineは、多発性骨髄腫用のXPO1阻害剤NEXPOVIO(R)(セリネクソール)も欧州で商品化しています。Stemlineは、固形がんおよび血液がんを対象に、さまざまな開発段階にある低分子化合物およびバイオ医薬品の広範な臨床パイプラインも有しています。
[1]Bardia et al. EMERALD phase 3 trial of elacestrant versus standard of care endocrine therapy in patients with ER+/HER2- metastatic breast cancer: Updated results by duration of prior CDK4/6i in metastatic setting. SABCS 2022. GS3-01
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