最近、少しずつではあるが耳にする機会が増えた感のある“短鎖脂肪酸”が記念日として制定された。その日付は「3月4日」。「短鎖(3)脂(4)肪酸の日」ということでこの日が記念日になったということだが、どちらにしても記念日として制定されることで少しでも世間での短鎖脂肪酸の認知度が上がり、健康意識の向上へつながることを期待したい。そんな「短鎖脂肪酸の日」を目前に控えた2月28日、都内某所で短鎖脂肪酸に関する研究最前線と「腸からの健康寿命の延伸」を目指す企業の取り組みを紹介するメディアフォーラムが開催された。登壇したのは、腸内デザイン共創プロジェクト(Gut Design Project:略称GDP)に参加する7社。GDPとは「腸内デザイン」のコンセプトを共有し、共に広め、研究開発・商品開発・啓蒙活動といったすべての方面からの取り組みを推進することで「腸内デザイン市場」の創出を目指す企業連携プロジェクト。今回のメディアフォーラムでは、各企業が持つ短鎖脂肪酸の研究成果と可能性が明らかにされた。
短鎖脂肪酸メディアフォーラムの冒頭では、記念日の登録機関である一般社団法人日本記念日協会の田宮智康氏(左)から、記念日の申請を代表して行った江崎グリコ株式会社 広報部の石田絵里子氏へ記念日登録証が授与された。
株式会社メタジェン
続いて株式会社メタジェン 代表取締役社長CEO/慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任教授の福田真嗣氏による講演が行われた。テーマは「なぜ、短鎖脂肪酸に注目すべきなのか 〜腸から健康に寄与するメカニズムと次世代のヘルスケアの考え方〜」。便を“黄色い宝石”と呼び、便に含まれる腸内環境情報から次世代の医療・ヘルスケア産業の創出を目指す福田氏が、短鎖脂肪酸による健康効果について解説した。
ここからは、腸内デザイン共創プロジェクトに参加し「腸からの健康寿命の延伸」を目指す企業の取り組みが発表された。
ホクト株式会社
登壇者/ホクト株式会社 開発研究本部 森 光一郎氏
テーマ/きのこの継続摂取による短鎖脂肪酸の増加および免疫機能の増強に関する研究報告
帝人株式会社
登壇者/帝人株式会社 ビオリエ事業部 営業グループ 廣川雅一氏、吉﨑さと子氏
テーマ/プレバイオティクス素材「イヌリン」「スーパー大麦」の科学エビデンスのご紹介
カルビー株式会社
登壇者/カルビー株式会社 研究開発本部 研究部 機能研究課 増冨裕文氏
テーマ/シリアルの継続摂取による腸内環境および排便回数に及ぼす影響に関する最新研究 〜腸内環境の層別化・最適化に着目した研究開発・サービスの促進〜
株式会社ダイセル
登壇者/株式会社ダイセル ヘルスケアSBU事業推進室 事業戦略グループ 卯川裕一氏
テーマ/腸内代謝物質をコンセプトとした素材開発の取り組み
森下仁丹株式会社
登壇者/森下仁丹株式会社 事業統括本部 研究開発部 研究グループ 丸山晃嗣氏
テーマ/短鎖脂肪酸を直接大腸へ。短鎖脂肪酸を内包した大腸送達シームレスカプセルへの期待
江崎グリコ株式会社
登壇者/江崎グリコ株式会社 乳業事業部 商品開発部 発酵乳商品開発グループ 馬場悠平氏
テーマ/抗肥満から健康寿命の延伸を目指す江崎グリコの最新研究と短鎖脂肪酸を生み出すタンサ活
舌肥では以前から江崎グリコ株式会社が推進する「タンサ活」について取り上げてきたが、実は日本には短鎖脂肪酸について研究する企業がこんなにも多く存在するということに驚かされた。また今回の発表に触れて、あらためて短鎖脂肪酸の重要性について考えさせられ、これを我々メディアがもっと多くの人たちに伝えなければならないと気を引き締められる思いがした。