サプリメントを健康維持や栄養補給などを目的に利用している人も多いだろう。選ぶ基準として重要視するのは、目的に応じた成分や効果、そして安全性ではないだろうか。実は同じ栄養素のサプリメントでも、製造している国によって品質基準が大きく違うという。今回、医学・健康科学の博士である永田孝行氏監修のもと解説された、日本と米国でのサプリメントに対する考え方、そして、米国サプリメントの品質基準と安全性の高さについて紹介。また米国業界誌Nutrition Business Journal(NBJ)が発行する「Supplement Business Report2023」 を参考に、それらのサプリメントの市場動向をレポートする。
それに対して米国では、日本のような健康保険制度がなく保険料も高額なので多くの人は保険に加入することなく、治療・手術・処方薬などに要する医療コストも年々上昇していることから、消費者はサプリメントや健康食品を摂取することにより健康を維持しようとする背景がある。また米国人口の高齢化と共に慢性的関節痛・骨粗鬆症・心血管疾患・消化器系疾患・ 網膜黄斑変性症等の問題を懸念する人々の増加、更には健康への関心度が高まっており、医療従事者(医師や看護師)からも健康維持向上に向けたサプリメントの摂取が勧められているほど医薬品に近い位置づけとなっている。国際食品情報協議会(IFICF:International Food Information Council Foundation)の調査によると、回答者の65%が食品を購入する際に栄養素分析のラベル表示を確認し、50%以上が健康維持のために何らかのサプリメントを摂取。このように、米国国民の疾病予防意識は高く、日常生活にサプリメントを積極的に取り入れており、日々のショッピングの際にも店舗内で薬剤師によるアドバイスが受けられる機会が多くあることも日本との大きな違いと言える。
実は安全性の高い米国サプリメント。信頼できる理由とは?
世界一厳しい品質基準が定められている米国サプリメント
米国のサプリメントは日本とは別物だと言っても過言ではなく、食品よりも医薬品寄りに位置づけられていて、日本ではまだ義務化されていない「GMP」と言う厳格な品質基準が義務付けられている。GMPは各国に設けられているが、米国のFDAに定められている品質基準は「cGMP:current GoodManufacturing Practice」と表記されて最も厳しく定められている。GMPもcGMPも同じ品質基準だが「c:current(現在の・最新の)」が付けられることで「安全・品質の基準は移り変わるので常に更新しなくてはならない」という考えの下で、GMPは常に最新基準で監視されるため、安心・安全が保たれている。GMPとは適正製造規範(Good Manufacturing Practice)の略称で、原料の搬入から、製造・出荷までの全過程に於いて安全で一定基準の品質が保持されるように定められた厳格な規則であり、生産機器・設備・管理から品質システムの構築や品質リスクマネジメントの整備、販売後にも抜取検査で厳重に管理する規定がある。このGMPの設定・管理は世界一厳しいと言われる米国のFDA(食品医薬品局:Food and DrugAdministration)と言う日本での厚生労働省にあたる政府機関が担っていて、安全・承認の最終審査を経てDSHEA(ダイエタリー・サプリメント健康教育法:Dietary Supplement Health and Education Act)に登録された後にサプリメントとして市販される。全てのサプリメントには内容・成分値の表示が義務付けられているので、ラベル表示を確認することで苦手な成分やアレルギー及び宗教上の理由などによっても適正なサプリメントを選択することができる。