毎年3月8日は「国際女性デー」に定められています。女性の地位向上や、政治的・経済的に権利を守り、ジェンダー平等の実現を目指すために制定されました。しかし、女性が働きやすい社会を実現するためには、生理や更年期症状といった女性特有の健康課題への十分な理解も重要となります。そこで国際女性デーを前に、株式会社Hakuhodo DY Matrixのシンクタンク「100年生活者研究所」は、20~80代の男女728名を対象に人生100年時代における幸福と女性特有の健康課題に関する意識調査を実施。女性、男性それぞれの視点から、こうした健康課題の理解促進に何が必要かを調べました。その結果、自身の不調を家族や同僚、専門家に打ち明けた女性は、一人で我慢している人よりも幸福度が高いことがわかりました。また、男性の8割以上が理解する努力をしているものの、半数以上が「サポートが裏目に出そうで怖い」「本人に話しかけるのは気が引ける」と回答。周囲が理解をしようとする姿勢に対し、女性が感謝を伝えることにより、男性の不安解消や周囲からのサポートにつながることが示唆されました。
―4割が周囲に話したと回答する一方、3割は他人に話さず一人で我慢している
これまでに不調を経験したことがある女性を対象に、健康課題や不調を感じた際に取った行動について聞いたところ、「パートナーや家族、恋人、友人、職場の上司や同僚など周りに話した」が40.8%で最も高い結果となりました。一方、31.1%が「他人に話さず、一人で我慢した」と答え、周囲に共有できていない現状も判明しました。
―家族や同僚、専門家に話した人は、一人で我慢している人よりも幸福度が高い
Q1の回答者に幸福度(10点満点)を尋ね、高得点である8点以上の割合を比較しました。その結果、「パートナーや家族、恋人、友人、職場の上司や同僚など周りに話した」人は62.4%、「医師等専門家に相談した」人は44.0%でした。周囲に話した人は「他人に話さず、一人で我慢した」人の19.3%と比べて、高得点の割合がそれぞれ3.2倍、2.5倍高いことがわかりました。
―女性特有の健康課題や不調の理解認識に男女でギャップがある
男女別に女性特有の健康課題や不調に関して理解が進んでいるかを質問し、「理解が進んでいる」と回答した割合を比較しました。男性は「社会全体の理解」が44.0%(女性より5.8ポイント高い)、「職場やアルバイト先の理解」が47.8%(女性より9.3ポイント高い)、「男性の理解」が43.4%(女性より11.3ポイント高い)となり、理解認識に男女でギャップがあることがわかりました。
―男女ともに8割以上が理解する姿勢は重要だと回答するも、男性の特徴的な意見として「サポートが裏目に出そうで怖い」「本人に話すのは気が引ける」などが挙がった
女性特有の健康課題や不調に関する意見を聞いたところ、男女ともに高かったものとして「パートナーや友人、同僚等が不調になったときに自分でできるサポートはしたいと思う」(女性90.7%、男性83.8%)など4項目が挙がりました。男性の方が女性よりも5ポイント以上高い項目に着目すると、「よかれと思ってサポートとしてやったことが、裏目にでてしまいそうで怖い」(男性が7.9ポイント高い)、「不調がある本人に話したりするのは気が引ける」(男性が6.6ポイント高い)。このことから男性は、女性の不調に理解する努力をしているものの、「行おうとしているサポートが本当に正しいのか分からない」という不安を抱いていることがわかりました。
―女性は「周囲に感謝を示すこと」、男性は「男性、社会全体で理解を示す態度」が必要と回答
女性特有の健康課題や不調への理解促進に向けて必要なことについて男女別で質問し、「とてもそう思う」と答えた割合を項目別に比較しました。その結果、女性は「パートナーや同僚等、周りが不調に関する理解を示したら、本人も感謝を示すこと」が42.3%と最多で、「女性だけでなく男性、社会全体で理解を示す態度」の41.8%、「女性の健康課題に関する正しい情報発信」の41.5%と続きました。一方、男性は「女性だけでなく男性、社会全体で理解を示す態度」の36.5%が最も多く、次いで「気軽に相談できるかかりつけ医や専門家へのアクセス」が34.9%、「パートナーや友人、同僚等、周りができる限りのサポートを行うこと」が34.3%となりました。
【100年生活者調査~女性の健康課題編~】概要
調査目的:人生100年時代における幸福と女性の健康課題に関する意識調査
調査手法:インターネットモニター調査
調査期間:2024年1月
調査対象者:20~80代の男女728名
初潮から閉経まで女性はライフステージに伴って様々な健康課題や不調が付きまとい、それらは一人で我慢してやり過ごす「閉じた」課題とみられてきました。女性の社会参画が当たり前となった現代においては、生理痛やPMS(月経前症候群)が企業の経営課題や社会課題の一つとして認識されつつあると感じています。実際、本調査では男性の8割以上が理解・サポートしたいと答えており、「無関心」から「関心」へと移行していることがわかります。一方で、男性は「自分のサポートが正しいのか」「自分からは話題にしにくい」という悩みを抱えています。これを解消するためには理解しようとしている周囲の姿勢に対して、女性も積極的に感謝を伝えることが大切ではないでしょうか。感謝の言葉があることで男性も安心してサポートしやすくなり、より女性が活躍するための環境整備・空気感の醸成がなされていくと思います。人生100年時代では、男女ともに「開けた」課題という意識を持ち続けることにより、理解促進の近道になるはずです。今も一人で我慢している女性は3割います。国際女性デーを、パートナーや同僚などの周囲と話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
「言い出しにくい」「相談しづらい」と思われていた女性特有の健康課題や不調も、今や多くの女性が周囲に相談し、男性も理解してサポートしたいと考えているようです。男性がサポートすることに不安を感じてしまうのは、どうすればいいかわからない、何が正しいかわからないからですよね。家族やパートナーに対して言わなくても理解してほしいと考えてしまうことはありませんか。女性も男性特有の悩みやサポートの方法は教えてもらわないとわからないですよね。女性、男性に限らず、不調や悩みは人それぞれ。声に出さないと周囲にはなかなか理解してもらえないかもしれません。女性も男性もそれぞれの健康課題や不調などを、まずは身近な人と話し合ってみるといいかもしれませんね。
<Hakuhodo DY Matrix>
https://well-being-matrix.com/100years_lab/posts/100report240228/
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